2017年1月29日報告会を終えて - 小林和彦

 

 皆さんこんにちは。1月29日の報告会では皆さんにご協力いただき、まことにありがとうございました。日頃、国内外の政治と経済の目を覆いたくなるばかりの不正に怒りがこもりっぱなしで、その中で何の役にも立てぬ自分に対し自己不信がつのります。しかし、諸問題に対する思いを共有する皆さんと再び一堂に会することができ、皆様のお話しをお聴きし、意見交換が出来ました事は、今回も大きな喜びでした。まことにありがとうございました。以下、簡単で恐縮ですが今回の報告会を終えて心に残った事を私なりに述べさせて頂きたいと思います。
また、これからも、皆様からのご意見が寄せられ、意見交換が行われる事で、この報告会がさらに発展し、皆様の有意義なコミュニケーション・ネットワークの広がりへの一助と成ることを切望してやみません。
1.保養ネット・よこはま活動報告(池内さん・西岡さん):池内さん、西岡さん、ご報告ありがとうございました。写真をお見せいただきながらわかりやすく現場報告をして頂き、保養の内容と目的そして具体的な成果、また問題点が分かりやすく理解出来ました。私はこれまで何度か泊りがけで現地に出かけ、保養に来ている子供たちと親たちが心身共にリラックスしている様子を確認いたしておりますが、あらためてその重要性を再確認できました。
これは、保養ネット・よこはまの保養サービスが実にしっかりとした心くばりの行き届いた内容だからで、一回一回の献立にも素材から料理のバラエティーに至るまでの心くばりがよくわかりますし、毎日実施される数々のイベントも実によく考えぬかれた内容で、これだけ充実している保養サービスの提供は他にはなかなか無いと思います。それだけに、池内さん、西岡さんはじめ、この保養サービスに協力してくれているボランティアの方々のお骨折りに頭が下がります。
また同時に、被曝による健康被害と遺伝的影響が極めて長期に及ぶ事を考えますと、ますますこの保養サービスの継続の重要性が痛感されますが、他方、それを支えて活動して頂いている方々、池内さんにしても、西岡さんにしても、<あと何年続けられる?>という問題を抱えておいでと思います。ですから、<どうしたらこの保養サービスを今後も長く継続できるのだろうか?>という問題の解決が一番大きな課題と思います。 この解決なくしては、せっかくこれまで苦労を重ね、積み上げてきた貴重な実績も失われてしまう可能性が避けられないからです。 そのためには、引き継いでもらえる方々の確保とか、資金の確保とかいろいろ難しい問題があると思いますが、なんとか良い方向に向かって解決策が生まれることを切望してやみません。
2.埋めちゃう問題・避難児童いじめ問題報告(井上さくら議員):井上さん、ご報告ありがとうございました。 このいじめの件を知って、私は、実にやりきれない思いでおります。
過酷な事故の被害を受けて苦しむ罪なきフクシマからの避難家族の人たち、精神的にも、物質的にも、国民みんなの温かい支援を何よりも必要とする人たちを<ダシ>にして苛め、さらに金銭をおどしとるとは、なんという人間として最低の卑劣な行為でしょうか。 この事件で真っ先に思い当たる事は、このいじめをする子どもたちの陰険で卑怯な性格が、まさに現代の日本の大人の社会と行政の性格をそのまま反映しているという事実であります。いいかえれば、この子どもたちにこのような行動をとらせているのは、まさに、日本の大人社会、日本の行政が陰険で卑怯、無責任だからであって、それを、そのままこの子どもたちが無意識の内に自分たちの行動に写し取っているという事であります。
その意味で、その責任をもっとも追及されるべきはまさに当該の子供を育てて来た親、そして、周りの社会、教育機関、行政、そして最終的には、日本国民全体といわざるを得ません。この問題の根本にひそむ病根の大きさに唖然と致します。
今、何よりも必要とされる事は、問題をうやむやにせず、あきらめず、徹底的に原因とその責任の所在を追及する事ではないでしょうか。 どうも私には、本件における教育委員会の対応が<フクシマ>における無責任極まりない日本の行政の対応とスッポリ重なって見えてきます。
私は、この避難児童いじめ問題がもつ根の深さとその害悪を考えますと、井上議員の真摯な取り組みのもつ重要性を思わずにはいられません。心から感謝申し上げるばかりです。井上さん、フクシマの子どもたちの為、弱き人たちの為、ひいては日本社会に少しでも良識を取り戻すため、これからもご尽力頂けますようお願い申し上げます。
3.被災者・避難者支援つるみの会活動報告(古屋さん):東北大地震、フクシマ原発事故、熊本地震と相次ぐ大災害に際し、直ちに具体的な支援活動を組織し実行する古屋さんの行動力に頭が下がりっぱなしです。もっと時間をかけて古屋さんのお話をお聴きできれば、報告会参加者の方々にとってさらにいろいろと有益な情報が得られたのではと思い、残念です。
4.フクシマ児童支援活動報告(曵田さん):曳田さんは保養ネット・よこはまの伊豆におけるフクシマの子どもたちの保養サービスに欠かせない貴重な存在です。保養のための滞在期間中曳田さんが子どもたちに接し、語って聞かせるお話しの世界は賢治の童話であったり、ご自身の即興の<かたり>であったりさまざまですが、曳田さんの子どもに接する態度、まなざしは、まことに慈愛に溢れていて、それだけでも子供たちに親しみと安堵感を与えてくれることがそばで眺めているとよくわかりますが、またそれに加えて、曳田さんのこどもたちへの語りが実に上手で私は、曳田さんの語りを子どもたちの傍で一緒に聞いていると、いつも、敗戦直後の幼かった頃を思い出し、まるで、子ども達の人気を一身に集める紙芝居の語りの名人と会っているような錯覚をおぼえてしまいます。
曳田さんは、子ども好きで、ご自身の仕事を通じて日常幼い児童に接しておられ、そうした児童の心身の成長過程を細かく観察されておられます。その意味から、もっと時間をとって、曳田さんのお話、とくに、フクシマからの避難児童のいじめ問題について、曳田さんのお考えをお聞き出来たらなあと痛感しました。
4.ドイツからの測定器無償提供にかんする進展状況についての話(ちくりん舎理事長浜田さん):今回、ドイツからの放射能測定器無償提供先<ちくりん舎>の代表者、浜田さんにお越しいただき、直接ドイツとのやり取りの進展状況についてお話をして頂けて深く感謝致します。残念ながら時間的制約の中でいろいろとお聞きしたい事が実現できなかったのが、心残りです。特に、お聴きしたかった事は、この測定器を使ってどのような測定を具体的に計画されているのか、そして、その測定データをどのように活かす事を考えておいでなのかという点です。今回の浜田さんのお話の中でも若干触れられていましたが、福島原発事故以来、放射能測定値については、ほとんどセシウムの測定結果しか取り上げられていません。しかし、同事故で放出された、あるいは尚、放出されつつある放射能核種が多岐にわたっている事から、放射能汚染についての綿密な調査とそれに基づく被爆被害状況の現状そして将来に及ぼす影響についての総合判断のために、すでに放出された、あるいは放出されている全ての放射性物質、中でも際立って毒性の強いプルトニウム、或いはストロンチウム、トリチウム等々についての福島県及び周辺地域に於ける詳しいきめ細かな測定値が不可欠条件です。 しかし、そういった総合的な測定データとその人体に及ぼす危険性について行政側に意図的にこれを軽視し或いは隠蔽している可能性が強く懸念される以上、民間で測定をし、事実を国民自らが検証するしかありません。そういった意味で、この測定器のちくりん舎による有意義な活用を期待してやみません。
5.東京在フクシマ避難家族の現状について(ひなん生活をまもる会 東京 代表 鴨下さん):時間的制約の中で、鴨下さんに、東京に住む避難家族の現状について充分にお話をしていただく時間が無かったことが悔やまれますが、それでも、とくに今年3月から直面する住宅問題について若干でも語っていただいたことで、加害者である行政側が人道に反し、一方的にこれまでの住宅援助を打ち切ろうとする中で苦難を強いられる避難家族の現状が改めて浮彫になったと思います。時間があれば、こういった現状の中で新たにどのような具体的な支援方法があるのか、あるいは、考えられるのかといった点に関しても質疑応答が出来たと思われ、残念です。 いずれにしても鴨下さんの報告に深く感謝いたします。
6.広島の<フクシマこども支援の会>についてのお話 (須藤さん):須藤さんは環境問題、反原発運動で熱心に活動されていて、同分野で活躍されているさまざまな方々とのネットワークをお持ちです。2016年の1月の報告会にお越し頂いてお目にかかったのがきっかけで、寄付金の譲渡先として広島でフクシマのこどもたちに甲状腺診察乃至治療(武市クリニック・武市医師)と保養サービスを提供されている<フクシマこども支援の会・代表者:平木薫さん>を紹介され、同時に広島で支援活動されているいろいろな方々と交流させていただく事ができました。すべて須藤さんのお蔭でした。
環境問題、反原発問題について、須藤さんからご自身の活動を通じていろいろなお話をしていただける機会が得られればなあと思います。
7.ドイツ国内反原発講演旅行と欧州反原発運動についての報告(小林):報告内容を一時間の持ち時間に合わせてまとめるように試みましたが、結果として、いずれのテーマも中途半端になってしまいました。 特に残念なのは、1つに、ドーバー海峡における核廃棄物のドラム缶の海洋投棄にとどまらず、北海沿岸の核汚染の実態、原発による英国国内被曝者の実態等々についてのビデオ映像を見ながらの詳しい解説をする余裕が無かったこと、2つに、ドイツのItzehoe(イッツェホーエ)市および近郊地域の1970年代からの反原発市民運動の歴史的プロセスとその意味について、ドイツ全体の反原発運動との関係も含めてvideo映像をお見せしながら充分に解説させて頂く余裕が無かったことです。それでも、結果として、些少なりともご参考になる報告ができたとすれば、望外のよろこびです。
8.報告会を終えて(小林私見):まず、この報告会に参加して頂いた方々を拝見しますと、皆さんそれぞれが、反原発運動、フクシマの被害者支援運動に積極的に取り組んでおられ、その意味では、参加者全員がご自身の活動を通じていろいろ貴重な報告をしていただける方々ばかりのように思います。そこで、先ず気が付いた事を申し上げようと思います。
8.1
報告会の最後の質疑応答の時間を十分にとる事がきわめて大切と思われます。それもできれば、参加者全員が向き合う大きな円卓形式が良いのではないでしょうか。(今回も質疑応答の時間を佐々木さんの方で予定していただいたのですが、小林の方で当日お話しいただく方の追加をお願いしたため、質疑応答の時間が無くなってしまいました。小林の準備不足でした。まことに申し訳ありませんでした。心よりお詫び申し上げます。
8.2
この報告会の参加者に呼びかけて、せめて一年に二回程度でも、予め決めたテーマをもとに、3時間程度の円卓形式による意見交換会を開催するというのは如何でしょうか? 大変貴重で有意義な相互情報交換が期待できると思います。会場としては今回の県民ホールの20人程度の部屋を借りられればと思うのですが…
8.3
今回も私の為に報告会を開催頂き、感謝にたえません。持ち時間も私だけ他の方々よりも長く1時間頂きました。その意味で、なにか申し訳ない思いがします。既述内容と重複しますが、せめてこのような報告会乃至講演会(上記8.2の円卓形式意見交換会とは別です)を年に2乃至3回程度開き、参加者の他の方々にもそれぞれご自身の活動から選んだテーマについて詳しいお話しをしていただく事は出来ないものでしょうか?また、そのための会場予約の費用等々については、参加者が等分に負担するという形はとれないでしょうか?
8.4
次回から若干でも報告会の入場料(例えば500円乃至1000円?)を頂くような訳にはいきませんか?それを開催諸費用に充てられると思うのですが。

以上長くなってしまい、申し訳ありませんでした。

皆様、寒中、お身体くれぐれもお大事にお願いいたします。
2017年2月6日 小林和彦拝