CD制作費踏み倒し事件概要

 

 初めに。ご存知の方も多かろうが、僕はミュージシャンになる前は法務教官をやっていた。多くの犯罪少年と接したが、心根の優しい子も多かったし家庭環境の被害者に対しては同情を禁じ得なかった。そして犯罪者として裁かれなくとも犯罪者以上に汚い人間もまた多い。この事件で痛感した事は、灰色の塀の中で罪を償っていたあの少年達よりももっと救い難い人間が周りにいて、少なからず被害を受け不愉快な思いをさせられる危険が多々あるということだ。
この事件は実に簡単に説明が出来る。人に仕事を頼んでその代価を支払わない方法として弁護士を雇って僕に脅しをかけてきたのだ。「詐欺と恐喝で訴えるぞ」と。
面白い喧嘩の吹っ掛け方をする人間もいたものである。労働への対価を支払わない行為を一体どうやって正当化できるのか!? こんな事はそうそう起きる事件ではないだろう。犯罪者かオ*ムのイカれた人間と弁護士倫理の欠片もないクズが結びついた時くらいのものだ。だが本件は不幸にもそれが起きてしまった。それで昔から御世話になっている真貝暁弁護士に頼んで対応して貰ったところ、向こうの態度は「刑事告訴するぞ」から「30万円までまけてくれないか?」に急変。お笑いである。結局真貝弁護士と相談のうえ告訴に踏み切った。
 事件概要:2008年、長年の友人である小野道明(本裁判の参考人)の紹介で、I(仮名・本裁判被告、自称・業界人)からデモCDを作って欲しいと頼まれる。 アマチュアの仕事は通常断るのだが友人のたっての願いもあり、安い金額でやってあげることにした。ところがウチの録音機材を見て本格的な録音が出来るとふんだのだろう、「デモではなく完全なオケ付きで 曲程度作って欲しい」と要請が変わった。この段階で制作費は100万以下では出来ないが大丈夫か、と友人を通じ訊いてみると「100万でも200万でも構わない」と制作を執拗に懇願してきた。
それに応じ当方は制作を開始する。
 ジャケットは長くビクター・インビテーションで数々のCDジャケットのデザインを担当していた当方レーベルスタッフが担当した。 これも先方がこちらが制作した作品の数々を見て頼んできたことである。通常はロゴ制作含め80万円程度だが、僕の知り合い、しかもアマチュアということで破格の10万円で担当した(ロゴ制作も含む)。
作品は完成し出向まで済ませたが、制作費の支払いがない。再々請求しているうちにある日、先方の弁護士から「こちらには支払いの義務はない。権利も全てこちらに渡せ。さもないと詐欺、恐喝で刑事告訴する」という脅迫とも取れる書類が届いた。
やむなく当方は東京成功総合事務所代表の真貝暁弁護士(現UPTA顧問)に相談、解決を試みるも支払う気配すら無かったため告訴に踏み切った。
判決文の通り2年半に渡って争われた裁判の結果はこちらの概ね勝利。
ところがなんと先方が控訴してきたため高等裁判所に再審を持ち込むことに。
控訴理由は以下の3つ。

1.一審判決は東京地裁のでっちあげ。
2.白浜久はミュージシャンではない。
3.担当した裁判官が私事で忙しかったためにこうした判決が出た。
これを読んだ時には自分の目を疑った。裁判所もよく受理したものである。おもちゃを買って貰えない小学生が店の前で背中こすり付けてダダこねているのと大差無いではないか。
こんなものが控訴理由になるというのも凄まじいが、巷で言われている「ゴネ得」は本当であった。結局支払い命令の8割で示談決着したのだが、こんな小学生の言い分で何で賠償金が減るのか未だもって疑問だ。しかも被告の地裁における証言の虚偽(※)を証拠を添えて高裁へ提出さえしているにも関らず、だ。
こうした事の積み重ねが検察、裁判所、ひいては司法全体が国民から信用されなくなったそもそもの原因なのだ。さらに付け加えるならば小泉改革で弁護士の数は増えたがその質たるや目を覆うばかりである。小学生並みの文章力に加え依頼人の利益のためなら職業倫理などさっさと捨て去り平気で嘘、脅しをかけてくる弁護士のせいで司法の正義などゴミ同然になっている。
さて、本件資料は裁判中に知人のジャーナリストを通じ講談社に持ち込まれ、ミーティングも持たれた。ちょうど福島県知事贈収賄と障害者郵便制度の冤罪事件が問題になっていたので司法の堕落と題してシリーズ連載する中の一つとして検討されたが結局この時点では見送られた。が、もし記事になっていれば虚言癖のある中年女に騙されたアホな人間として逆に僕が恥をかいただけだったかも知れない。兎にも角にもかような事件に無駄な時間と税金をかけないよう司法にも猛省して貰いたい。それと弁護士の懲戒処分が少なすぎるのも主たる原因になっていると思われる。改善を求む。
※被告は「キングレコードと親しい関係にありキングレコードの提示した制作費は全て込みで100万円だった」と証言。ちょうどその時期僕はアニメ「輪るピングドラム」の挿入歌を担当しており早速担当ディレクターにその旨を伝えたら「犯罪の片棒担がされたなんて冗談じゃない。誰です、そいつ」とちょっとした騒ぎになった。その時に名前を公にしても良かったのだが、今後またボ**ラの*ズ弁護士と結託して被害者が出ないとも限らない。その時のために証拠は保管しておく。